2016年10月1日土曜日

井野俊郎法務大臣政務官に、支援して下さる方から複国籍の容認を求める陳情書を手渡しして頂きました

本日10月1日、井野俊郎法務大臣政務官に、支援して下さる方から複国籍の容認を求める陳情書を手渡しして頂きました。

井野法務大臣政務官は、「まさに、法務大臣政務官として、弁護士として真正面から取り組む課題」と話しておられました。秘書の方も重要課題ですねと頷いておられました。陳情書は以下の通りです。
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陳情書
法務大臣 金田勝年 様
法務副大臣 盛山正仁 様
法務大臣政務官 井野俊郎 様

2016年9月23日
複国籍PT
代表 高川憲之

私共複国籍PTは2001年に複国籍の容認を求める国会請願を始め、既に15年となりました。この道のりは大変長いものと認識しております。過去には法務 省に出向き、法務大臣陳情、法務政務官陳情をさせて頂きました。当時、法務省は国籍制度については、国民の動向を見守っているという姿勢で、法改正に踏み 込むことはありませんでした。

当時の千葉法務大臣は立ち話として、「法務大臣の催告はこれからも出ませんから、安心して下さい」と仰って下さいましたが、残念ながら、これは特に明文化されているものでもありません。(確かに現実として、現在まで催告は行われてないようです)

私共が請願活動を始めた頃は、複国籍問題を明確化させることによって、かえって法務省の態度の硬化を生み、複国籍者に対して不利益に働く懸念もありまし た。しかしながら、今日に至っては、出生により複国籍者となった方々が多く成人し、自らがメディアに意見を述べるに至っています。

当会代表の高川もスイス人の配偶者を持ち、子供たちは日本とスイスの複国籍者として出生しています。このように国際結婚家族にとって、日本の国籍選択制度 は大変深刻な問題として重くのしかかっております。万一にもこの制度によって、子供たちの日本国籍が喪失されることがないよう切に願っております。

もともと複国籍の容認を求める活動は主に複国籍となった子を持つ親が、子を思う為に始めたものだと考えておりますが、当事者の多くが成人となった今日は、子の世代、当事者の問題として捉えなおす必要が生じています。

一方で、民進党代表蓮舫氏の複国籍問題に端を発し、複国籍者は違法な存在だとメディアで扱われ始めています。これがエスカレートし、民法のアナウンサーの 複国籍についても糾弾されることになっています。具体例としては、TBSがあるジャーナリストから山内あゆアナウンサーの解雇を求められました。
(参考URL:http://lite-ra.com/2016/09/post-2568.html

これは、個人の国籍を理由にした人種差別であり、就職の自由を阻害する人権侵害行為です。私達はこういった複国籍者への人種的差別のエスカレートを深刻に 懸念しています。日本においても複国籍者は合法的にかつ自然に増加しております。それに伴って、こうした複国籍者を対象とした人権侵害がメディアを騒がせ る程にまでなっています。

複国籍者排除のため国籍法を厳格に適用せよ(日本国籍を喪失させよ)、という意見も見られます。こうした事情を勘案すれば、複国籍問題は既に明確化され、 かつ人種差別を叫ぶ集団からの格好の攻撃材料となって、複国籍者の不利益を生んでいる、との現実が容易に浮かび上がります。

これがエスカレートすれば、実際に複国籍者の国籍を理由とした就職上の不利益、あるいは解雇などが顕在化すると推測されます。

国籍法については、国籍唯一の原則をさらに厳格に運用するのか、あるいは先進国が選択したように、家族の生活権を擁護するなどのために寛容化するのか、日本も今、選択の岐路にあると思われます。

私たちは、私たちの家族の生活権の擁護を求めます。一方で、前述のように国籍唯一の原則の厳格運用を主張する意見があります。そしてそれがエスカレートし 複国籍者差別として、私たちの生活を脅かす危険が現実化して来ています。国籍問題を明確化せずにやり過ごそうという対応はもはや取れなくなりました。

参議院調査室作成資料、立法と調査295号(2009.8)「重国籍と国籍唯一の原則~欧州の対応と我が国の状況~」では、「我が国が単独で今後とも国籍 唯一の原則を堅持し、重国籍を防止することは困難であると言わざるを得ず、むしろ、どのようにすれば、国籍唯一の原則の理念と重国籍者の増加という現実を 調和させることができるかという観点から国籍立法を考えるべきではないか」と結んでおります。

また、日本弁護士連合会は2008年11月19日付の意見書「国籍選択制度に関する意見書」で、人権擁護という観点から以下の提言をしております。

1.異なる国籍の両親から生まれた複数国籍者や、外国籍者との婚姻等に際して自動的に複数国籍者となった者については国籍選択義務の適用がないように国籍法を改正すべきである。
2.国籍法が改正されるまで、同法15条1項に基づく国籍選択の催告をしない運用を維持されたい。
3.国籍留保制度、自ら他の国籍を取得した場合の国籍喪失制度についても、複数国籍保持を容認する方向での国籍制度を検討すべきである。

私達複国籍PTは複国籍を容認する国籍法の改正を以下のように求め、毎年請願書を衆議院、参議院に提出しています。

1. 形骸化した国籍選択制度の早急な廃止
2. 複国籍を容認している一方の国との相互主義的な複数国籍の容認
   例えばオセアニア、欧米諸国等との相互主義的な複数国籍の容認

まずは、国籍選択制度を廃止して頂き、今も増加する複国籍者の身分を安定させ、国籍を理由とした人権侵害が起きないようにして下さい。そして、国際結婚家 族や国際的に活躍する人々の生活を擁護する観点などから、切実な理由を持つ人々の複国籍の容認を、既に複国籍を容認している先進国の国々と相互主義的に容 認して下さい。相互主義的にかつ政府が対象国を認定することにより、国家側から見た複国籍のデメリットは最小限となります。

複国籍の容認は、個人側から見た場合、国籍国への諸手続きが増えるというデメリットはあるものの、それ以外は見当たりません。一方、はるかにメリットが上 回ります。日本人が世界で活躍する機会を増やします。在外邦人やその家族にとっても大きなメリットがあります。世界に広がる日本人社会にとって、複国籍の 容認は大きなメリットとなり、当然に日本国にとっても、特に国際的な人的資源や情報資源、あるいは経済的資源の確保に寄与します。

国籍法の改正は立法の場で行われるもので、国会で行われるものと理解しておりますが、法務省が動いて頂き、現状の形骸化した国籍選択制度を中心として国籍 法を見直していく、という形で行政の立場からも働きかけて頂きたく、お願いいたします。この国籍法の改正案が、法務省から出され、内閣に送られ、国会で審 議されることを切に望んでおります。

複国籍PT 役員構成 
代表 :高川憲之 自営業 情報処理技術者、通訳、調理師
副代表:鍵谷智 行政書士
副代表:仲晃生 弁護士

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